汎骨炎(Panosteitis)
汎骨炎
汎骨炎(Pano)は、中型から大型犬種の若い犬において(6~18ヶ月齢)痛みと跛行を引き起こす比較的一般的な疾患です。
前肢と後肢の長骨に炎症が起こります。(前肢の上腕骨・尺骨、後肢の大腿骨・脛骨)
この疾患の原因はわかっていません。
食事と遺伝の両方が発症に起因しているかもしれません。
跛行はなんの原因もなく突然現れるでしょう。
どの肢が罹患しているのかを見極めるのは難しいかもしれません。跛行は時間の経過とともに別の肢に移動します。
最終的にはこの疾患(痛みと跛行)の症状はなくなるでしょうが、骨の構造の変化のいくつかは永久的であるかもしれません。
臨床的特徴(症状) 跛行はなんの原因もなく突然現れ、別の肢に移行するでしょう。
初期段階では、犬は食欲不振、発熱、無気力および体重減少を経験するかもしれません。
痛みは軽いか重度でしょう。
一般にこの疾患は時間の経過につれ解決します。
痛みと跛行がある間、獣医師は痛みを和らげるための薬物療法、運動制限を指示するかもしれません。
遺伝形式
わかっていません。
診断
獣医師は跛行歴(突然発症したか、外傷によって引き起こされていないか、犬の年齢、サイズ)と身体検査により汎骨炎を疑うでしょう。診察時、犬の前肢か後肢の長骨が痛むでしょう。
跛行は単一の肢に限定されずに、時間により異なった肢にあわられるでしょう。これは”移動性跛行”と呼ばれます。
レントゲン撮影は他の疾患と外傷を除外し、汎骨炎の診断を下すために必要です。
治療方法
この疾患は一般的にself-limiting
です。
跛行の症状は通常約1~3ヶ月続き、一般に約2歳までに完全に治まります。
治療は運動制限とともに、痛みと跛行を和らげる薬物療法が中心です。 ※self-limiting
: 治療を行わずとも長期的には症状が落ち着いたり、治まる性質があること
繁殖について
痛みと跛行の症状が治まったとしても罹患犬を繁殖に使うべきではありません。
この疾患の遺伝については、罹患犬の近親の繁殖について注意を促すべき、と言えるほど十分には知られていません。
References:
Crook A, Hill B and Dawson S Canine Inherited Disorders
Database(www.upei.ca/cidd), copyright 1998;
Sir James Dunn Animal Welfare Centre (Atlantic Veterinary College,
University of Prince Edward Island,
Canada) and the
Canadian Veterinary Medical Association.
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