髄鞘(ミエリン)低形成
(Hypo-/dysmyelinogenesis=Shaking Puppy
syndrome)<
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髄鞘(ミエリン)低形成
髄鞘(ミエリン)は神経細胞を取り囲んでいる脂肪質の物質です。絶縁性で神経インパルスの電導速度を上げる役目を果たしています。
ミエリンの形成は妊娠中期に始まり、誕生後しばらく続きます。
この疾患では、主として脊椎また脳の部分において、ミエリン形成の不足(hypo)か異常な形成(dys)があります。
最も影響を受けるのは、一般的な固有受容(proprioceptive)システムです。(身体の動きと位置決めに重要である)
症状はスプリンガー・スパニエルとサモエドで最も重度です。
他の犬種では、子犬はおそらく誕生後ゆっくりミエリン形成が続くために、しばしば徐々に症状は良くなります。 ※
固有受容、固有受容感覚(proprioceptive):関節の位置関係、体節の重量、方向、大きさ、速度などを含む関節の動きを認識し知覚する
臨床的特徴(症状) 固有受容システムが最も影響を受けるので、罹患した子犬達はバランス、体の同調、ポジショニングに関して問題を持ちます。
彼らはワイドベーススタンスを取り、不恰好に見えます。(弱々しくはない)
子犬達は木馬歩様と形容されることがあるかもしれません。
頭と脚の激しい震えをもち、子犬が興奮したり動いているときにより強く、休憩、睡眠時には静まります。
罹患した子犬達は通常注意深く、環境に敏感です。
症状は誕生後か初めて歩いたときに、最初に気付かされます。
スプリンガー・スパニエルとサモエドを除き、これらの症状は悪化するのではなく、数週間から数ヶ月にわたって徐々に良くなっていき、しばしば1歳までに正常になります。
スプリンガー・スパニエルではX染色体による優性遺伝のため、オスに最も激しい症状がでます。
生後約2週齢で、オスの子犬達は休息中は静まり、興奮すると悪化する、体と頭、脚の激しい震えを発症します。
彼らは立てず、歩けず、また食べることができません。そして、通常徹底的な人口飼育なしには生き残ることはできません。
メスは保因犬(carrier)となり、4週~6週齢で現れなくなる程度の軽い症状を見せるでしょう。
遺伝形式
スプリンガー・スパニエル(shaking
pup)と、ことによるとサモエドでは、伴性優性遺伝です。
他の犬種は、常染色体劣性遺伝と考えられています。。
診断 主として小脳に関わり、新生子に同様の症状を引き起こす他の疾患があります。
獣医師は他の考えうる原因を除外するための検査をするでしょう。
治療方法
治療法は全くありませんが、罹患した子犬は時間とともに良くなり、しばしば1歳までに回復する傾向があります。
サモエドとオスのスプリンガー・スパニエルはもし良くなってもわずかでしょう。
繁殖について
罹患したスプリンガー・スパニエルの子犬の母親は必ず保因犬(carrier)であり、再び繁殖に用いるべきではありません。
同胎姉妹の繁殖もまた避けられるべきです。彼らは2分の1の確率で保因犬(carrier)であるからです。
そしてこの重度な疾患をどんなオスの子孫にも伝えるべきではありません。
他犬種においては、罹患した動物(affected)がもし正常に回復したとしても彼らの両親(carrierである)と同胎(carrierの疑い)を繁殖すべきではありません。
References:
Crook A, Hill B and Dawson S Canine Inherited Disorders
Database(www.upei.ca/cidd), copyright 1998;
Sir James Dunn Animal Welfare Centre (Atlantic Veterinary College,
University of Prince Edward Island,
Canada) and the
Canadian Veterinary Medical Association.
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