組織球増殖症(Histiocytosis)

組織球増殖症
悪性と全身性の組織球増殖症は、異常な組織球の急速で侵略的な広がりとして特徴付けられた癌です。組織球とはマクロファージの一種である細胞です。
マクロファージは正常な防御機能の一部として骨髄で作られ体中を循環します。

遺伝形式
多因子性遺伝です。

臨床的特徴(症状)
悪性、全身性共に病気の兆候は、食欲不振、体重減少、虚脱感です。
全身性の組織球増殖症は著しい皮膚損傷(皮膚の硬化、結節、潰瘍)がありますが、これらは悪性組織球増殖症の場合にはまれです。
悪性組織球増殖症は通常中年から老年にかけて発症しますが、全身性組織球増殖症は若齢で発症するでしょう。
全身性組織球増殖症では長期の小康状態を保てるかもしれませんが、最終的には組織球が他の臓器(特に肺、肝臓、脾臓、骨髄、リンパ節)を侵します。
悪性組織球増殖症は急速に進行する侵略的な疾患です。一般的に肺に転移します。

診断
異常な細胞の転移の発生する場所によって臨床症状は異なります。
肺の腫瘍は一般的で、咳や息切れなど呼吸器に関する症状を引き起こします。
獣医師はおそらく、臨床症状、レントゲン、血液検査に基づいた上で組織球増殖症を疑うでしょう。
腫瘍のタイプ決定のためには組織標本を採取し、病理組織検査を行います。

治療方法
悪性組織球増殖症は急速に進行するため、診断時点で一般的には転移が認められます。
よって外科的治療の効果はありません。
全身性組織球増殖症は長期の小康状態を保つか、急速に進行するかどちらかです。
さまざまな化学療法が試みられていますが、思わしくありません。

繁殖について
この致命的な疾患は中年から老年にかけて発症するため、遺伝子を運ぶ恐れのある両親を特定するのが困難な場合があります。
ブリーダーが有害な遺伝子の広がりを制限するため繁殖プログラムを変更できるように、獣医師またはオーナーはこの疾患がいつ診断されたかをブリーダーに報告することが非常に重要です。


References:
Crook A, Hill B and Dawson S  Canine Inherited Disorders Database(
www.upei.ca/cidd), copyright 1998; Sir James Dunn Animal Welfare Centre (Atlantic Veterinary College, University of Prince Edward Island, Canada)  and the Canadian Veterinary Medical Association.



補足:BMDCAのレポートより

平均発症年齢:7歳
バーニーズにおける発症頻度は20頭中1頭で、両親のどちらかが発症していればその子供が発症する確率は4.5頭中1頭です。




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